鯉のぼりは、こどもの日を彩る日本の伝統的な飾りですが、屋外で長期間飾るため、汚れがつきやすいものです。
雨風やほこり、紫外線による色あせなど、放置すると劣化の原因になってしまいます。
せっかくの鯉のぼりを長く大切に使うためには、適切な洗濯とお手入れが欠かせません。
しかし、「鯉のぼりはどのように洗えばいいのか?」「洗濯機を使ってもいいのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、鯉のぼりは素材によって洗い方が異なり、間違った方法で洗うと生地を傷めたり、色落ちしたりする可能性があります。
さらに、収納方法を誤ると、翌年使うときにシワやカビが発生してしまうこともあります。
本記事では、鯉のぼりを正しく洗う方法を素材別に詳しく解説し、長持ちさせるための干し方や収納方法まで紹介します。
鯉のぼりを洗う前に知っておくべきポイント

洗濯表示を確認する
鯉のぼりを洗う前に、まずはタグや取扱説明書に記載されている洗濯表示を確認しましょう。
特に素材によっては、水洗いできないものや、洗濯機の使用が禁止されているものがあります。
以下のポイントをチェックしてください。
- 水洗い可能か(水洗い不可のマークがある場合はクリーニング推奨)
- 洗濯機使用の可否(洗濯機OKの表示があるか)
- 乾燥方法の指定(直射日光NGの場合もある)
洗濯表示がない場合や、長年使用していてタグが消えてしまった場合は、基本的に手洗いをするのが安全です。
汚れの種類と洗濯のタイミング
鯉のぼりは屋外で長期間飾るため、さまざまな汚れが付着します。
主な汚れの種類と、それに応じた洗濯のタイミングを把握しておきましょう。
汚れの種類 | 特徴 | 洗濯のタイミング |
---|---|---|
泥汚れ | 風雨で付着しやすい | シーズン中に一度チェックし、汚れがひどい場合は洗う |
黄ばみ | 紫外線やホコリの影響で発生 | 収納前にしっかり洗う |
カビ | 湿気の多い環境で発生 | 早めに対処しないと落ちにくい |
特に、シーズン終了後にしっかり洗ってから収納することが重要です。
汚れが残ったままだと、生地の劣化やカビの原因になってしまいます。
素材別!鯉のぼりの正しい洗い方
鯉のぼりの素材によって、洗い方の適切な方法が異なります。
素材ごとの特徴を理解し、それに合った方法で洗うことが大切です。
ここでは、ナイロン・ポリエステル・綿(または絹)の3種類について解説します。
ナイロン製の鯉のぼりの洗い方
ナイロン製の鯉のぼりは、水に強く乾きやすい特徴があります。
そのため、比較的簡単に自宅で洗うことができます。
洗い方の手順
- ぬるま湯(30℃以下)を用意し、中性洗剤を溶かします。
- 優しく押し洗いをします。
強くこすると生地が傷む可能性があるため、もみ洗いは避けましょう。
- しっかりすすぐ(洗剤が残らないように2~3回水を替える)。
- タオルで軽く水気を取る(ねじって絞らない)。
- 陰干しをしてしっかり乾かします。
注意点
- 漂白剤の使用はNG(色落ちの原因になるため)。
- 高温のアイロンは避ける(ナイロンは熱に弱いため、シワが気になる場合は低温で対応)。
ポリエステル製の鯉のぼりの洗い方
ポリエステルはナイロンよりも丈夫で、しわになりにくい素材です。
比較的洗濯機で洗えるものが多いですが、洗濯表示を確認してから行いましょう。
洗い方の手順(手洗いの場合)
- ぬるま湯に中性洗剤を溶かす(ナイロンと同様)。
- やさしく押し洗いし、汚れを落とす。
- しっかりすすぐ(洗剤残りがないように)。
- 陰干しで乾燥させる。
洗濯機で洗う場合
- 洗濯ネットに入れる(絡まりやダメージを防ぐため)。
- 「手洗いモード」や「弱水流」で洗濯。
- 脱水は短時間にする(しわや傷みを防ぐため)。
- 風通しの良い日陰で干す。
注意点
- 洗濯機を使用する場合は洗濯ネットに入れることを忘れずに。
- 乾燥機はNG(熱で縮んでしまう可能性がある)。
綿や絹の鯉のぼりの洗い方
綿や絹で作られた鯉のぼりは、デリケートな素材のため特に注意が必要です。
強くこすったり、高温の水で洗ったりすると、生地が傷む原因になります。
洗い方の手順
- 水(冷水推奨)に中性洗剤を溶かす(おしゃれ着用洗剤がベスト)。
- 押し洗いで汚れを落とす(もみ洗いはNG)。
- すすぎはしっかり行い、洗剤を完全に落とす。
- タオルに挟んで水分を取る(絞らない)。
- 平干しまたは陰干し(吊るすと伸びる可能性があるため)。
注意点
- 洗濯機は使わず、必ず手洗いをする。
- 水温は常温か冷水にする(熱に弱いため)。
- アイロンをかける場合は低温で(あて布をするとなお良い)。
洗濯後の正しい干し方と乾燥のコツ
鯉のぼりを洗った後は、適切な干し方で乾かすことが重要です。
間違った干し方をすると、色あせや型崩れの原因になります。
ここでは、正しい干し方と乾燥時の注意点を解説します。
干し方の基本ルール
- 形を整えて干す(シワや縮みを防ぐため)
- 直射日光を避け、陰干しする(色あせ防止)
- 風通しの良い場所で乾かす(湿気を防ぎ、早く乾燥させる)
ナイロン・ポリエステル製の干し方
ナイロンやポリエステルは比較的乾きやすい素材ですが、直射日光に長時間当てると色あせするため注意が必要です。
干し方の手順
- 軽く水気を取る(タオルで挟んで押し出すように)
- 形を整えながらハンガーや物干し竿にかける
- 日陰の風通しが良い場所に干す
ポイント
- 洗濯バサミで挟むと跡がつくため、ハンガーや竿にかけるのが理想的です。
- 鯉のぼりを広げて干すことで、シワや折り目を防げます。
綿・絹製の干し方
綿や絹は、ナイロンやポリエステルよりも乾きにくく、シワになりやすい素材です。
干し方にも特に注意が必要です。
干し方の手順
- タオルで軽く水気を取る(強く絞ると生地が傷むため注意)
- 物干し竿にかけるか、平干しネットを使用する
- 直射日光を避けて、日陰で乾かす
ポイント
- 吊るすと生地が伸びる可能性があるため、できるだけ平干しするのがベストです。
- アイロンをかける場合は低温にし、あて布を使用すると生地を傷めにくくなります。
早く乾かしたいときの工夫
鯉のぼりは大きいため、天気が悪いと乾きにくいことがあります。
乾燥を早めるための工夫をいくつか紹介します。
扇風機やサーキュレーターを使う
部屋干しをする場合は、扇風機やサーキュレーターを使って空気を循環させると早く乾きます。
除湿機を活用する
湿気が多い日は、除湿機を使うことで乾燥を早めることができます。
物干し竿を2本使い、風通しを良くする
鯉のぼりが重ならないように、物干し竿を2本使ってM字型に干すと乾きやすくなります。
長持ちさせる収納・お手入れ方法

鯉のぼりを長く使うためには、正しい収納方法と日常的なお手入れが欠かせません。
洗濯後にしっかり乾燥させた上で、適切に保管することで、生地の傷みやカビの発生を防ぐことができます。
収納前のチェックポイント
収納する前に、以下の点を確認しておきましょう。
・汚れが残っていないか(シミや泥汚れがあると変色や劣化の原因になる)
・完全に乾いているか(湿気が残るとカビの原因になる)
・ほつれや破れがないか(来年使う前に修理が必要な場合も)
チェックが完了したら、適切な方法で収納していきます。
鯉のぼりの正しい収納方法
鯉のぼりは、コンパクトに折りたたんで収納するのが一般的ですが、折り目がつきにくい方法を選ぶことが大切です。
収納手順
軽くたたむか、巻いて保管する
- 折り目をできるだけつけないように、大きめにたたむか、丸めて収納するとシワを防げます。
通気性の良い袋に入れる
- 不織布の収納袋や通気性のある布袋に入れると、湿気がこもりにくくなります。
- ビニール袋は湿気がこもりやすいため避けましょう。
乾燥剤を入れて湿気対策をする
- シリカゲルなどの乾燥剤を一緒に入れておくと、湿気やカビの予防になります。
風通しの良い場所に保管する
- 収納場所は湿気の少ない場所を選ぶことが大切です。
押し入れやクローゼットに保管する場合は、除湿剤を置いておくと安心です。
来年も気持ちよく使うためのお手入れ
収納したままだと、次に取り出したときにシワやにおいが気になることがあります。
以下のような方法でお手入れをすると、来年も快適に使うことができます。
使用前のお手入れ方法
- シワが気になる場合は軽くアイロンをかける(低温であて布を使用)
- 風通しの良い場所で陰干しをする(収納臭を取るため)
- 汚れが気になる場合は、軽く水拭きをする(特にポールや金具部分)
このように、正しく収納し、シーズン前に軽くメンテナンスをすることで、鯉のぼりを長持ちさせることができます。
こんな場合はクリーニングを検討しよう
鯉のぼりは、手洗いや洗濯機で洗えるものが多いですが、自宅で洗うのが難しい場合や、生地を傷めたくない場合には、クリーニングに出すことを検討したほうが良いこともあります。
ここでは、クリーニングを検討すべき状況について解説します。
1. 洗濯表示に「ドライクリーニング」の表示がある場合
洗濯表示に「ドライクリーニング」のマークがある場合、水洗いは避けるべきです。
これを無視して洗ってしまうと、生地が縮んだり色落ちしたりすることがあります。
ドライクリーニング専門の店舗にお願いすると、生地に優しい洗濯方法でお手入れしてくれます。
2. 素材が非常にデリケートな場合
絹や高級綿などのデリケートな素材で作られている鯉のぼりは、手洗いや洗濯機での洗浄が難しいことがあります。
こうした素材は、家庭で洗うと傷むリスクが高いため、クリーニングを検討しましょう。
特殊な素材の取り扱いに慣れたプロの手に任せるのが最適です。
3. 大きな汚れや染みがついている場合
鯉のぼりに大きな汚れや染みがついてしまった場合、自宅で完全に落とすのは難しいことがあります。
特に、泥汚れや油汚れ、食べ物のシミなどは、専門的な処理が必要です。
クリーニングに出せば、シミ抜きや汚れ除去をしっかりと対応してもらえます。
4. 自宅で洗うのが手間である場合
鯉のぼりは大きいため、洗う手間や乾かす時間もかかります。
特に高齢の方や忙しい方にとっては、自宅で洗うのが負担になることがあります。
時間がない、手間をかけたくないという場合にも、クリーニングを利用することで手軽にお手入れができます。
5. 傷んでしまった場合
もし自宅で洗濯した結果、生地に傷がついたり、色あせがひどくなったりした場合は、修復も兼ねてクリーニングを検討するのが良いです。
クリーニング業者によっては、部分修復や色戻しなどのサービスも提供していることがあります。
まとめ
鯉のぼりは、適切に洗濯し、お手入れすることで長く美しく使うことができます。
洗濯前には、洗濯表示を確認し、素材に合った方法で洗うことが大切です。
ナイロンやポリエステル製は比較的洗いやすいですが、綿や絹はデリケートなため、慎重に扱う必要があります。
洗濯後は直射日光を避け、風通しの良い場所で干すことが色あせを防ぐポイントです。
さらに、完全に乾かしてから湿気の少ない場所に収納することで、カビや劣化を防げます。
防虫剤や乾燥剤を活用すると、より安心です。
また、大きな汚れがある場合や、高級素材の鯉のぼりはクリーニングを検討するとよいでしょう。
プロに任せることで、生地を傷めずに清潔な状態を保つことができます。
適切な洗濯と保管を心がけ、大切な鯉のぼりを毎年気持ちよく飾りましょう。